病気にならないための雑学。

健康な生活習慣づくりを進めるための雑学を簡単に紹介します。主な分野は認知症、高次脳機能障害、メンタルヘルス、運動、食事など。作業療法士。

マムシにかまれたらどうする?

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アウトドア活動で山や川の周辺ですごしていると、蛇を見かけることがあるかと思います。

日本には毒を持った蛇は少ないですが、マムシには注意が必要です。

ここではマムシの特徴を理解し、もしかまれたときの対応について確認します。

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まず、マムシの特徴について確認します。

・色は茶色で模様は銭形模様と言われ(・)(・)の形をしています。
頭は三角形で、他のヘビは丸い
・他のヘビに比べて短くずんぐりしている
・目は猫の目のように(|)、他のヘビは(●)

地域や個体によって色彩に違いがあり、実際には判別は難しいようです。

以下、判別の参考になるサイトです

 

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もう少し生態について確認してみたいと思います。

マムシ活動するシーズンは4月~10月頃で、それ以外の11月~3月は冬眠しています。

森林ややぶ、特に水辺周辺でよく見られます。これはマムシのエサとなるカエルなどが多く生息しているためと言われます。

一般的にマムシは夜行性と言われますが、行動時間は季節や地域によって違います。昼間でも気をつけておきましょう

他のヘビは伸びたままでいることが多いですが、マムシとぐろを巻いてじっとしている事が多く、これを誤って踏んでしまい、かまれるケースが多いといわれます。

また、マムシテリトリー意識を持っているといわれます。近づいたり刺激をしないようにしましょう。

長靴や登山用スパッツを使うことも有効なようです。

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もしマムシにかまれてしまったらどうなるのか、症状を見てみます。

まずは噛まれた場所の痛みと腫れが出てきます。

マムシの毒は出血毒と言われます。普通は出血すると、しばらくすると血が固まり出血は止まりますが、マムシの毒によって血が固まりにくくなり出血が止まらなくなります。また、血管などの細胞が破壊されて出血しやすくなります。

重度化すると腎不全になったり、血圧が低下しショック状態となり、死亡するケースもあります(死亡率0.1%~1%)。

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ではマムシにかまれてしまったらどうすればよいのでしょうか。

まずは毒を吸引して除去することです。写真のようなポイズンリムーバーを使いましょう。口で吸引するという方法も言われますが、これは口から毒が回る恐れがあり、危険です。

そして同時に救急要請をして、すぐに医療機関にかかりましょう。できれば6時間以内に血清投与をうけることが望ましいとされています。

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もう一つ、実際の場面ではかまれた蛇がマムシかどうかわからない場合があります。

暗い場合、蛇が逃げてしまった場合、そしてそもそも蛇自体の判別が難しいという問題があります。

かまれた蛇がマムシかどうかわからない場合は、対応はマムシに準じて行うほうが安全と言えます。そして必ず医療機関を受診しましょう。

参考記事

 

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運動のカロリー消費を比べてみよう

運動のカロリー消費を比べてみよう

 
 

運動をした後、どのくらいカロリー消費をしたのか、気になりますよね。

ここでは運動ごとにどのくらいのカロリーを消費するのかを比べてみたいと思います。

活動量計スマホアプリなどで計測できますが、手計算でも簡単にできますよ。

※読むのが面倒な人は、2のメッツの表と4の消費カロリーの式だけ見てください。

いろんな運動やスポーツがありますが、「どれがきついのか」を表すのにメッツという単位が使われています。

これは安静時の状態を1メッツとして、それぞれの運動は座っている状態の何倍きついのか(どれだけカロリー消費するのか)を表しています。運動ごとに数値が示されています。

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カロリー消費するためにはメッツの大きな運動をすればよいのですが、きつい運動ほど続けるのが難しくなります。

そこで、どのくらいの時間運動をつづけられるかを加味して検討することが必要になります。

どのくらいの運動量を、どのくらいの時間続けたか。これを示すのが「エクササイズ」という単位で(メッツ)×(時間)で計算します。

例えば・・・

水泳(平泳ぎ)を1時間行った場合、5.3メッツ×1時間=5.3エクササイズとなります。

登山(4㎏荷物)を3時間行った場合、6.5メッツ×3時間=19.5エクササイズとなります。

「エクササイズ」は実際に行った運動の量を表します。登山3時間は水泳1時間の4倍くらいの運動量があるとわかります。

では、実際にどれだけカロリー消費をしたかというと、これは運動をする個人によって違います。何によって左右されるかですが、これは「体重」によります。体重が重いとそれだけ消費するカロリーも高くなります。

これを加味し、前記の「エクササイズ」に体重をかけることで消費カロリーを研鑽することができます。

メッツ×運動時間×体重=消費カロリー

体重65㎏の場合の例を考えます。先ほどの例に体重をかけるだけです。

〇水泳(平泳ぎ)5.3メッツ×1時間×65㎏=344.5kcal
〇登山(4㎏荷物)6.5メッツ×3時間×65㎏=1267.5kcal

参考記事

健康づくりのための身体活動基準 2013 (厚生労働省)↓

筋肉痛のしくみ

筋肉痛のしくみ

 
 

誰もが経験したことのある筋肉痛。

なぜ痛くなるのか、予防方法はあるのか、痛い時にはどうしたらよいのか。

カニズムと対処方法を確認していきましょう。

説明するまでもありませんが筋肉痛とは、慣れない、または激しい運動を行った後、数時間から数日の間に筋肉に感じる痛みのことを言います。専門的には「遅発性筋肉痛」と言います。運動した後1日~3日後に痛みが出てくるためです。

もし運動をしていないのに筋肉痛が起こり、自然に治る様子がない場合は何らかの病気の可能性があります。お医者さんに相談してください。

まずは筋肉のしくみについて確認します。

筋肉は縮むことで関節を動かします。図には二本の筋肉(上腕二頭筋上腕三頭筋)が示されていますが、この上側の筋肉(上腕二頭筋)が縮むことで肘が曲がります。これが基本的な筋肉のしくみです。

ハードな運動をすると、筋肉が疲労し傷つきます

「筋肉が傷つくから痛いのだろう」と考えてしまいそうですが、話はそんなに簡単ではありません。詳細は割愛しますが、このメカニズムは完全に解明されていません。主な説としては以下のようなものが考えられています。

①運動によってできる疲労物質(乳酸)が筋肉内に蓄積し、筋肉内に酸素がうまく行きわたらず痛みをおこす
②筋肉やその周辺の組織が傷つき、炎症がおこることで痛みが出る

そして、これも体験的に理解されていることだと思いますが、トレーニング後に筋肉痛を経験しながら休息することで、筋肉がトレーニング前より増強します。これを「超回復」と言います。

だけどこの痛み、何とかならないものかと誰もが思ったことはあるかと思います。

まず、筋肉痛はある程度は予防が可能です。

筋肉痛が起こる際には筋肉が損傷します。この損傷を少なくするにはウォーミングアップをすることです。筋肉を温めてほぐすことで、筋肉の余計な損傷を防ぎます。これは同時にけがを防ぐためにも大切です。

クールダウンも重要です。ハードな運動で緊張した筋肉をリラックス状態に戻すために軽い運動をしましょう。これにより、血流を促進してその後の痛みをある程度軽減できます。

筋肉痛が出てきたときの対処です。

基本的に血流促進することで痛みを和らげ、早期に回復することができます。

安静にしておくことや入浴することで血流促進する(消極的休息)ことのほか、軽い運動やストレッチなどを行うことで血流促進する(積極的休息)方法があります。筋肉痛の時には運動してもよいかという疑問があると思いますが、軽い運動ならむしろ行ったほうが良いでしょう。ただし、筋トレは毎日しないほうが良いです。

ご存知の通り、筋肉痛は自然に治るので痛み止めなどの薬は基本的には不要です。しかし痛みによって仕事や生活に支障があれば使うことを考えてみてもよいかと思います。

運動の仕方によって筋肉痛になりやすい・なりにくいの違いがあります。

まずは例を見ていきます。

<例1>ダンベルを持ち上げる時
筋肉が縮みながらダンベルを持ち上げます。これを短縮性収縮と言います。筋肉の長さが短縮することからこの名前がついています。

<例2>ダンベルを下げる
ダンベルを支えつつ、少しずつ力をコントロールして筋肉を伸ばしていきます。力が入りながらも筋肉の長さが伸びることから、伸張性収縮と言います。

短縮性収縮と伸張性収縮については以下でわかりやすく解説されています。

 

 

この伸張性収縮の時は特に筋肉に負担が大きく、筋肉の痛みも大きくなります。このため、伸張性収縮が多い運動ほど筋肉痛が起こりやすくなります。

参考記事

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しっかり歩けていますか?~ロコモティブシンドローム~

しっかり歩けていますか?

 
 

一般高齢者向けの資料です。

年齢とともに歩くのが大変になっていませんか?

当てはまる方、当てはまらない方それぞれにおられると思いますが、今回は歩くことや階段を上ることなど、移動することが大変になってくることについて考えてみたいと思います。

タイトルにつけていますロコモティブシンドロームという言葉をお聞きになったことがあるでしょうか。

これは2007年に日本整形外科学会が提唱した言葉なんですが、例えば以下のような状態をいいます。

・しっかり歩けない
・立ったり座ったりが大変
・畳から起き上がれない
・階段が登れない
・つまづく、こける

このような移動する能力が低下した状態ロコモティブシンドロームと言います。

体のどこが悪くなっているかというと、体を動かす器官、これを運動器と言いますが、骨・筋肉・関節・靭帯・腱・神経などをいいます。整形外科で診てもらうところですね。

では何が原因で歩きにくくなったりなど、移動が大変になるのでしょうか。

原因は大きく分けて2つあります。①運動器の病気によるもの、②加齢です。

①運動器の病気はたくさんありますが、代表的なものでは変形性膝関節症や骨粗しょう症、骨折など、腰痛や肩こりもこれに含めて考えます。この運動器の病気に関してはまずお医者さんに相談して病気の治療をすることが一番になります。

②次に加齢ですが、年をとると筋力がや体力、耐久性が落ちてきます。関節や筋肉が痛むことも増えてきます。これについては対策をとることができます。後ほど説明します。

では簡単なチェックをして、ご自分の状態を確認してみましょう。これから紹介する7つの項目のうち、一つでも当てはまるものがあればロコモティブシンドロームのおそれがあります。

①片足立ちで靴下がはけない
②家の中でつまづいたり滑ったりする
③階段を上がるのに手すりが必要
④家のやや重い仕事が困難(布団の上げ下ろし、重たいごみを出す、風呂掃除など)
⑤2㎏程度の買い物をして持ち帰るのが困難
⑥15分くらい続けて歩くことができない
⑦横断歩道を青信号で渡り切れない

いかがでしょうか?

 

 

ロコチェックにあてはまった方も、あてはまらなかったも、これから筋力や体力が低下するのを防ぐような習慣を身につけておくことが大切です。

運動とバランスの取れた食事をとることが大切です。

食事はいろんな栄養素をバランスよくとることに加え、運動器の材料となるようなものをとります。筋肉のもとになる肉・魚などのタンパク質、骨をつくるカルシウムなどが特に大切です。

運動ですが、ロコモオンラインというところで簡単な運動が紹介されています。片足立ちとスクワット、室内で簡単にできるこのような運動から習慣にしてみてはいかがでしょうか。詳しい運動の方法はリンク先からどうぞ。

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脳に大ケガをしたらどうなる?

人間にとって最も大事な臓器の一つ「脳」。この脳に大ケガをしたらどうなるのでしょう。

まずは歴史的に有名な、ある事例を見てみましょう。

フィニアス・ゲージは米国の鉄道建築技術者の職長でした。ある日の発破作業で、爆薬を仕掛けるために、岩に深く穴を掘り、火薬・ヒューズ・砂を入れて鉄の付き棒で着き固める作業を行っていました。その作業中に火薬が爆発して、写真で彼が持っている鉄の突き棒が頭部を貫きました。鉄の棒は顔の横から入り、左目の後ろを通り抜け頭部から抜け出しました。

その後のゲージの様子です。

・事故後、数分もたたないうちに口をきき、ほとんど人の手を借りずに歩いた。
・友人や看護者からは、数時間のうちに亡くなるであろうと考えていた。
・その後の治療を経て、すっかり良くなり、鉄道の仕事には戻れなかったものの、仕事もしながら生活することができていた。

というように、治療を経て回復しました。

ここで疑問は、脳が破壊されるような大ケガを負いながらも生きていられたのはなぜかということです。

その答えは、脳には場所により機能の分担があり、ゲージの場合、生命維持に関係のない場所のケガだったため、死を免れたのです。

脳を大きく分類すると、図の薄いピンクで表された部分が大脳、濃いピンクの部分が小脳、黄色の部分が脳幹と言われます。

・大脳は考える、見る、聞く、話す、体を動かすなどの機能を分担します。
・小脳は体の動きの調節などを行います。
・脳幹は生命維持に必要な機能を分担し、具体的には体温調節、内臓の調節、呼吸、覚醒などのコントロールなどを行っています。

もう一度ゲージの場合を考えてみます。ゲージがケガしたのは脳の前側の部分で「前頭葉」呼ばれる場所です。ここは感情のコントロール、物事を計画する、人間関係を良好に保つ機能があります。

生命維持の機能があるのは「脳幹」ですので、死を免れたわけです。

しかし、重大な問題はありました。

事故前には勤勉で責任感があり、部下たちからの信頼も厚い、優秀な人物だったと評されていたのですが、事故後は気まぐれで礼儀知らず、同僚にも敬意を払わず頑固で子供っぽくなったというのです。

性格が変わってしまったのです。

先ほど前頭葉を「感情のコントロール、物事を計画する、人間関係を良好に保つ場所」と説明しました。ここが壊れてしまったため、このようなことが起こってしまったのです。

実はこのような例は、現代でもよく見られます。むしろ、医療技術が発展した現在は昔よりも脳をケガして一命をとりとめられる方が増えています。原因を挙げてみました。

・脳の血管が詰まる脳こうそく、脳の血管が破れる脳出血くも膜下出血は日本人の3大死因の一つです。
・交通事故や転落によって脳にダメージを負うこともよくあります。
・窒息や一酸化炭素中毒などによる低酸素脳症、インフルエンザなどによる脳炎なども珍しいものではありません。

このように脳にダメージを負い、生活がうまくいかなくなる状態を「高次脳機能障害」といいます。

ゲージの話に戻ります。

事故後、一命をとりとめたものの、優秀な人格・性格を失ってしまった彼ですが、後日談によると、考えられていた以上にずっと機能的に働き、社会にもずっとうまく適応していたということです。

脳にケガをしても、回復するものと理解しておいていただきたいと思います。

 

 

 

写真の引用・・・wikipedia

 

イラスト・・・Illust AC