病気にならないための雑学。

健康な生活習慣づくりを進めるための雑学を簡単に紹介します。主な分野は認知症、高次脳機能障害、メンタルヘルス、運動、食事など。作業療法士。

筋肉痛のしくみ

筋肉痛のしくみ

 
 

誰もが経験したことのある筋肉痛。

なぜ痛くなるのか、予防方法はあるのか、痛い時にはどうしたらよいのか。

カニズムと対処方法を確認していきましょう。

説明するまでもありませんが筋肉痛とは、慣れない、または激しい運動を行った後、数時間から数日の間に筋肉に感じる痛みのことを言います。専門的には「遅発性筋肉痛」と言います。運動した後1日~3日後に痛みが出てくるためです。

もし運動をしていないのに筋肉痛が起こり、自然に治る様子がない場合は何らかの病気の可能性があります。お医者さんに相談してください。

まずは筋肉のしくみについて確認します。

筋肉は縮むことで関節を動かします。図には二本の筋肉(上腕二頭筋上腕三頭筋)が示されていますが、この上側の筋肉(上腕二頭筋)が縮むことで肘が曲がります。これが基本的な筋肉のしくみです。

ハードな運動をすると、筋肉が疲労し傷つきます

「筋肉が傷つくから痛いのだろう」と考えてしまいそうですが、話はそんなに簡単ではありません。詳細は割愛しますが、このメカニズムは完全に解明されていません。主な説としては以下のようなものが考えられています。

①運動によってできる疲労物質(乳酸)が筋肉内に蓄積し、筋肉内に酸素がうまく行きわたらず痛みをおこす
②筋肉やその周辺の組織が傷つき、炎症がおこることで痛みが出る

そして、これも体験的に理解されていることだと思いますが、トレーニング後に筋肉痛を経験しながら休息することで、筋肉がトレーニング前より増強します。これを「超回復」と言います。

だけどこの痛み、何とかならないものかと誰もが思ったことはあるかと思います。

まず、筋肉痛はある程度は予防が可能です。

筋肉痛が起こる際には筋肉が損傷します。この損傷を少なくするにはウォーミングアップをすることです。筋肉を温めてほぐすことで、筋肉の余計な損傷を防ぎます。これは同時にけがを防ぐためにも大切です。

クールダウンも重要です。ハードな運動で緊張した筋肉をリラックス状態に戻すために軽い運動をしましょう。これにより、血流を促進してその後の痛みをある程度軽減できます。

筋肉痛が出てきたときの対処です。

基本的に血流促進することで痛みを和らげ、早期に回復することができます。

安静にしておくことや入浴することで血流促進する(消極的休息)ことのほか、軽い運動やストレッチなどを行うことで血流促進する(積極的休息)方法があります。筋肉痛の時には運動してもよいかという疑問があると思いますが、軽い運動ならむしろ行ったほうが良いでしょう。ただし、筋トレは毎日しないほうが良いです。

ご存知の通り、筋肉痛は自然に治るので痛み止めなどの薬は基本的には不要です。しかし痛みによって仕事や生活に支障があれば使うことを考えてみてもよいかと思います。

運動の仕方によって筋肉痛になりやすい・なりにくいの違いがあります。

まずは例を見ていきます。

<例1>ダンベルを持ち上げる時
筋肉が縮みながらダンベルを持ち上げます。これを短縮性収縮と言います。筋肉の長さが短縮することからこの名前がついています。

<例2>ダンベルを下げる
ダンベルを支えつつ、少しずつ力をコントロールして筋肉を伸ばしていきます。力が入りながらも筋肉の長さが伸びることから、伸張性収縮と言います。

短縮性収縮と伸張性収縮については以下でわかりやすく解説されています。

 

 

この伸張性収縮の時は特に筋肉に負担が大きく、筋肉の痛みも大きくなります。このため、伸張性収縮が多い運動ほど筋肉痛が起こりやすくなります。

参考記事

イラスト