病気にならないための雑学。

健康な生活習慣づくりを進めるための雑学を簡単に紹介します。主な分野は認知症、高次脳機能障害、メンタルヘルス、運動、食事など。作業療法士。

食後に眠くなるのはなぜ?~食後低血圧~

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食後に眠くなるのはなぜ?~食後低血圧~

 
 

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食事のあとに眠くなるのは誰もが経験したことがあることだと思います。

なぜ、食後に眠くなるのでしょうか。

車を運転するときなど、眠気が危険を及ぼすケースもあります。眠気予防は可能なのでしょうか。

食後に眠気が起こるメカニズムを理解してみましょう。

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食後に「眠い」「だるい」「ぼんやりする」ということが起こることがあります。

このとき血圧を測ると低くなっています。眠気がおこるのは血圧の低下が原因です。

このことを「食後低血圧(食事性低血圧)」といいます。

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では、どのようなメカニズムで食後に血圧が下がるのでしょうか。

食後は胃や腸など消化管の血管が拡張し、血流が増えます。消化吸収のためですね。

それによって血圧が下がります。

血管収縮・拡張と血圧の関係
(血管が収縮する=血管が血液を締め付ける=血液の圧力が高まる=血圧が上がる)
(血管が拡張する=血管の血液締め付け緩和=血液の圧力が下がる=血圧が下がる)

ところで、脳の血流や血圧は一定を保つようにコントロールされていますが、時々それがうまく働かない場合があります。

また、後述するような疾患があると、そのコントロールがうまくいかず、食後低血圧がよく見られるようになります。

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よく「ご飯ものを食べると眠くなる」と言われます。

ごはんやパン、麺類などは「炭水化物=糖」です。

糖を摂取すると、糖が腸管を刺激して「ニューロテンシン」というホルモンが分泌されます。この「ニューロテンシン」には血管拡張作用があり、前述の食事による内臓血流の増加に加え、さらに血管を拡張させ、血圧を下げる原因となります。

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車の運転をするときなど、眠くなると困る場合があるかと思います。その時の対策について考えます。

まず思いつくのはコーヒーです。コーヒーに含まれるカフェインには血管収縮作用がありますので対策としては有効と言えるでしょう。

また、炭水化物がより血管拡張をすすめることから、炭水化物の摂取を控えることも食後低血圧を防ぐのに効果があります。

ご飯をゆっくりと食べる、食後に休憩をとることで食後低血圧の影響を抑えることができるようです。

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食後低血圧=病気ではありません。健康な人でも起こります。

しかし、食後低血圧を起こしやすい病気があります。とくにこのような病気を持っている方は注意が必要です。

・神経疾患(パーキンソン病レビー小体型認知症など)
・高血圧、糖尿病

また、年をとるごとに血圧のコントロール作用が弱くなり、食後低血圧が起こりやすくなります。

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食後低血圧について、注意が必要な場合がありますので確認しておきます。

・車の運転など、眠気が重大な事故につながる場合
・低血圧による意識障害やめまいで転倒→骨折などの大けがを負ってしまう可能性があります
・食後低血圧時に脳血管障害や狭心症をおこすことがあります

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参考記事

平山正昭: 神経治療 32:338-342,2015


https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=10093

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