若くても認知症になる?「若年性認知症」
若くても認知症になる!?「若年性認知症」
一般市民向けの啓発用資料です。
認知症が社会問題になっていることはご存知のことと思います。認知症人口は2012年には462万人(7人に一人)が、2025年には700万人(5人に一人)という推計がされています(内閣府)。
高齢になって認知症になる方もならない方もおられます。逆に若くても認知症になる方もおられます。若年性認知症と呼ばれる病気です。
若年性認知症はをはじめ、認知症は予防の方法が分かり始めています。逆に言うと無知でいると若くても認知症になってしまう可能性があります。
ここでは若年性認知症についての一般的知識と予防の方法について確認したいと思います。
若年性認知症とは、64歳以前に起こる認知症を言います。一般的な認知症との違いは年齢だけです。早い場合、30代からはじまることもあります。
認知症は病気の種類ではなく、年齢で分けることに意味がありますが、これは後述します。
そもそも認知症とは何かですが、認知症は脳がダメージを受け、認識・判断・記憶・などがうまくできず、生活が成り立たなくなることをいいます。脳にダメージを負う病気やけがを負えば、認知症になる可能性があります。
若年性認知症という”病気”があるわけではありません。先ほど説明した通り、脳がダメージを負うと認知症の症状が現れます。
そして、65歳を境に、認知症になった年齢によって若年性かどうかが分けられています。
これは認知症の原因よりも、年齢のほうが後の生活に重大な影響を及ぼすためです。
認知症の原因は若い人も高齢者も本質的に変わりありません。脳にダメージを及ぼす病気やケガにより、認知症を起こす可能性があります。
その主な原因を挙げます。
・アルツハイマー病:脳細胞がどんどん死んでいく病気。記憶障害が最初に目立ちやすい
・前頭側頭型認知症:アルツハイマー病同様に脳細胞が死んでいくが、脳の前側・側方にその傾向が強い。進行が早く、性格変化が特徴。
・脳血管性認知症:脳こうそくに伴って起こる認知症。できることとできないことが混在する(まだら認知症)
・頭部外傷後遺症:交通事故や転落などで脳がダメージを起こる
この他にも認知症をおこす病気はたくさんあります。
若年性認知症は病気そのものは高齢者の認知症と変わりはありませんが、それがおこる年齢が問題になってきます。
若い世代の多くは現役世代で、働き盛りで責任も負い、家庭では子育て・介護の役割がある年代です。
また、高齢者には介護保険等手厚い社会保障のしくみが整っていますが、若年性認知症の場合はその制度に適合しにくく、公的な支援を受けられないケースもよくあります。
このような点で、認知症を年齢で区分する必要があるのです。
若くてもかかる可能性がある若年性認知症ですが、予防方法もだんだんわかるようになってきました。
病気の本質は高齢の認知症と変わりありません。高齢の認知症の予防を若いうちから行うのが有効です。
ちなみにアルツハイマー病では認知症を発症する20年前から、脳に病的な変化が現れるとされています。なおさら予防の重要性が注目されます。
認知症予防には生活習慣に気をつけることが大切です。
生活習慣病の糖尿病、脂質異常症、高血圧は認知症の危険因子として、積極的に治療・管理するべきです。また、肥満、喫煙、うつも認知症の原因とされます。生活活動では身体的な運動、知的活動を活発に行うことが認知症予防に有効とされています。
最後にもしかして若年性認知症かなと心配した場合の対処を紹介します。
まず、かかりつけ医を受診しましょう。かかりつけ医は普段の状態をよく知っているのが一番のメリットです。ただし、問診だけしてすぐに「認知症です、薬を出しましょう」というようなところは信頼できません。
実は認知症は診断が難しく、場合によっては治療して完治する認知症もあります。それを逃さないためにも丁寧な鑑別診断が必要です。
そのため、かかりつけ医の他の社会資源として、認知症疾患医療センターや地域包括支援センターなど、様々な公的機関があります。紹介を受けて行くほか、ダイレクトに相談もできます。
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